ビシクロとスピロっていつもどう名前を付ければいいのか忘れてしまいますよね。

そこで今回はスピロではない、ビシクロ・トリシクロの名前の付け方をまとめました。

段階的に図で示したのでわかりやすいと思います。


ビシクロの命名

ビシクロでは以下の順序で命名します。

1.一番大きい環(主環)を見つける
2.その大きい環を分断する結合(主橋)を作る2つの点(主橋頭)から大きいを回るように番号をつける
3.1番目の橋頭に近い方から橋に番号をつける
4.最初に「bicyclo」と書く
5.次に橋をつくる原子数を大きい順にピリオドで並べ、大括弧で囲む。
6.すべての原子数に対応するアルカン名を最後に書く

こんな感じです。
具体的に名前を付けていきましょう。
上のビシクロを考えます。
1.一番大きい環(主環)はこれです。


2.大きく長い橋を先に回るようにして番号を付けます。

3.橋頭の大きい番号からところから橋に番号を付けます。



4.いよいよ名前を付けていきます。
まず「bicyclo」と書きます。

5.次に橋の数を大きい順に並べてピリオド「.」で区切り、大括弧「[]」で囲みます。
今回は3個が一番多く、次に2、2の順です。
「bicyclo[3.2.2]」


6.最後に全原子数に対応するアルカン名を書いて完成です。

今回は9つのため、ノナンですね。
「bicyclo[3.2.2]nonane」
7つと数え間違えてへプタンと書いていました。すみません。。コメントありがとうございます。

このようにしてビシクロの命名ができます。

トリシクロの命名

3つの環があるトリシクロではどのようにして名前を付ければよいでしょうか。
基本はビシクロと同じですが、やや複雑な部分もあります。
トリシクロの命名は以下の順序で行います。
1.一番大きい環(主環)を見つける
2.主環に含まれない橋の中で、一番長い橋(主橋)を見つける
3.主橋以外の橋を無視したビシクロを考え、主橋頭から大きいを回るように番号をつける
4.次に橋をつくる原子数を大きい順にピリオドで並べ、大括弧で囲む。
5.主橋にも主環にも含まれない橋(二次橋)を書き、二次橋を構成する原子数を大括弧に加える。
6.二次橋をつくる橋頭の番号を5.で書いたの数字の右上にカンマで並べて書く。
7.先頭に「tricyclo」、末尾にすべての原子数に対応するアルカン名を書く

2.では、同じ長さの主橋が複数ある場合があります。
その場合には6.で橋の原子数を並べるときに1番目と2番目の数字の差が小さくなるように主橋を選びます。

少し複雑ですよね。
では具体的に考えてみましょう。
これを考えてみます。
1.一番大きい環はこれです。

2.一番長い橋はこれですね。

3.ビシクロと同じように大きい橋から主環番号をつけていきます。

4.橋頭を除く橋の原子数を大きい順に並べていきます。
このときはまだビシクロのままです
4つと3つと2つなので [4.3.2] となります。
5.トリシクロでは主環と主橋以外にもう一つ橋(二次橋)があります。
その橋の原子数も大括弧に加えます。
今回は橋頭の間に原子がないので0です。
[4.3.2.0]



6.二次橋の橋頭の番号を二次橋の原子数の右上にカンマ「,」で区切って書きます。
[4.3.2.02,5]

7.3つの環で「tricyclo」、11個の原子より「undecane」のため
「tricyclo[4.3.2.02,5]undecane」
となります。

命名に影響しないので主橋に番号をつけませんでしたが、主橋、二次橋どちらも大きい番号の橋頭から順番に番号をつけていく感じです。
橋は2つの橋頭を必ず含みますが、その2つのうちの大きい番号を比べます。

同じ長さの主橋が複数ある場合

2.の手順での注意を具体的に考えてみましょう。
例えば以下の化合物ではどうでしょうか。
この場合は


上の赤と青が主橋として考えられます。

赤を主橋とすると
青を主橋とすると
となる。
1番目と2番目の数字の差は赤が3-2=1、青が4-1=3で赤の方が差が小さいので、正しいのは赤を主橋にした時です。

まとめ

ビシクロとトリシクロの命名についてわかりやすくまとめました。
4員環以上もこれを応用して命名できますが、また条件が多くなってくるのでここでは省略します。
化学は難しい部分が多いですが、少しずつ自分の中でかみ砕いて理解していきましょう。

参考: