双極子モーメントとは分子の電荷の偏りのことです。

電気陰性度の差によって電子の引っ張られるために生じます。

水を考えてみましょう。




酸素の方が水素より電気陰性度が大きいために水素から電子を引っ張ります。

O-H間の偏りのベクトルが合わさることで下向きに双極子モーメントが生じていることがわかります。

このとき、双極子モーメントの向きはマイナスからプラスの向きです。


しかし有機化学ではこれが逆に表記されています。





有機化学ではプラスからマイナスに向かって矢印が書かれます。

そして矢印に線が入っていて、覚え方としてはその十字がプラスを表しているため、プラスからマイナスの向きとなります。


これは歴史的な理由があるらしいですが、主な考えとしては有機化学では電子の動きにより注目するため電子が吸い取られる方向へ矢印を書いているそうです。

そのため有機化学の方の矢印は双極子モーメントというよりかは極性の方向を表している分極の指標と考えることができます。

よって双極子モーメントとして考えるのならば物理化学のようなマイナスからプラスの方向へ矢印を向けるのが正しいと思われます。