家族の在り方は時代とともに変化してきました。

家族の在り方は子供に大きな影響を与えるために非常に重要なものです。

今回はその家族の在り方についてまとめてみました。


家族って何?

そもそも家族とは、夫婦を中心として親子や兄弟などの近親の血縁者を構成員とする、相互の愛情と信頼で結ばれた小集団です。

もちろんこの定義だけでなく、血がつながっていなくても家族の関係であることもあります。


この家族という定義は、上野千鶴子さんによると社会の在り方によって変化すると言います。

田舎だと広い親戚を含めて家族と言ったりしますが都会だと核家族だったりするため、田舎や都会でも大きく異なってきますよね。

また時代の変化によって変化します。

時代の変化については後で触れます。


社会の在り方によって家族の在り方が変化するわけですから、文化によっても変わってきます。

文化によってどのように違ってくるのでしょうか。


文化による家族の在り方の違い

代表的な文化として以下の3つがあります。

1.イスラム社会

イスラム社会では宗教的な義務として夫が妻子を扶養します。

2.西サモアの社会

西サモアの社会では田舎のように広範囲の親類縁者が集まって大家族を形成します。

3.ヘアーインディアン社会

ヘアーインディアン社会では誰が家族かを気に留めなく、狩猟民族で構成されています。


このように世界的に見ると様々な家族の在り方があることがわかります。

この中でどんな家族の在り方が好ましいのでしょうか。

家族の在り方はどのようにあるべきなのでしょうか。


オルソンの家族研究

オルソンという心理学者は家族の在り方を二次元のグラフで表しました。

すなわち2つの尺度から家族の在り方を考えたということです。

その2つとは結合性適応性です。

・結合性

結合性とは家族とのつながりのことです。
どのくらい家族と一緒に過ごしたり話したりするかの度合いです。
結合性が強すぎると家族に拘束されてしまうことになり、弱すぎるとほぼ放置されているようなものです。

・適応性

適応性とは家族内での役割などを柔軟に対応できるかの度合いです。
家族でなにかを決めるときに誰が強く意見を言うのかとか、食事は誰が作るのかなどの役割を柔軟に変化できるかを表します。
適応性が高すぎると家族内で役割が全く決まっておらず、何も決められなかったり誰も食事を作らなかったりしてしまいます。
低すぎても物事を決めるときはいつも同じ人の意見ばかり通ったり、食事はずっと同じ人が作るなど偏りが生じてしまいます。


この2つの尺度から家族の在り方を分類したわけですが、結局どのような家族の在り方がいいのかというと、真ん中です。
結合性も適応性もほどほどが良いということです。
無難な結論ですけど極端はよくないですもんね。

家族と外の世界

子供への影響

家族の在り方について考えてきましたが、その在り方は子供に大きな影響を及ぼします。
小さい子供にとって親は「Safety Base(安心・安全の基地)」です。
すなわち親は子供にとって安心する場所です。
この親の対応によって子供の基本的信頼感を育てられます。
基本的信頼感とは「ここにいていいんだ」というように、人を基本的に信頼する態度のことです。
このようにして子供の情緒の安定が築かれていきます。

外の世界とのつながり

家族はこどもの精神的な成長を促しますが、家族だけと暮らしていくことはできません。
家族ではない人とも触れ合っていかなければなりません。
家族の外の世界に触れることで社会的信頼市民性が形成されていきます。

社会的信頼とはよく知らない人に対して基本的に信頼する態度のことです。
市民性とは、自分の行動を自分で制御する自律意識と、他者と協力していく連帯意識からなる態度のことです。

このように様々な家族の在り方の形やその影響、家族の外について考えてきました。
それでは今の日本はどのような家族の在り方なのでしょうか。

日本の家族の在り方

傾向

日本では家族の在り方の傾向としては、晩婚化非婚化が挙げられます。
結婚する時期が遅かったり、結婚しない人が増えてきているのです。
今は30歳で既婚者の数が未婚者の数を上回るのですが、昔はもっと若い年齢で上回っていました。
また50歳以上で未婚の人のほとんどが生涯未婚者となるのですが、その人数も増えてきたということです。

これは日本が経済的に安定してきたことで教育に力を入れるようになり、多額の教育費を費やすことで高学歴の人が増えたことなどが挙げられます。
就職するまでの期間が長くなったために経済的に自立して子供を育てる環境を形成する時期が遅れてしまうのです。
もちろん他にも原因はたくさんあるとは思いますが。

他にも離家(りけ)といって、実家を出て一人暮らしを始める時期が遅くなっています。
そのためパラサイトシングル、すなわち学校を卒業した後も独身のまま実家に住み着く人も増えてきました。

また核家族化少子化なども進んできました。

これらは家族や親戚のつながりが弱まってきたり、コミュニケーションがSNSに変化したことなどが影響してきたと言われます。

戦後からの変化

社会の在り方は戦後の高度成長期から現在にかけて大きく変化してきました。
戦後は父が働いて母が子育てをし、子供は勉強して学歴を得るのが普通でした。

しかし今は終身雇用がなくなったり、社宅の制度がなくなってきたりすることで共働きが増えてきました。
平成7年には片働きの家庭の数より共働きの家庭の数が多くなりました。

性別役割分業

共働きだと女性だけが子育てをすると女性は仕事と子育ての両方をしなくてはならなくなり、負担が非常に大きくなってしまいます。
これにより女性の産後うつの人も増えてきました。
そのため負担を分散するために女性だけではなく男性も子育てをする人が増えてきました。

これは核家族化により子育てを祖父母に頼ることができなくなってきたことも大きいです。

また少子化によって高齢者の介護の負担も大きくなってきたために公的支援も重要になってきました。

これから家庭を持つ人は

日本の家族の在り方についてみてきましたが、これから家庭を持つ人はどう生きていけばよいでしょうか。
そこに明確な答えはありませんが、自分の持つ家庭をイメージしておくことは重要です。
例えば家庭と仕事をどのように両立していくか、ワークライフバランスを自分ならどうしていくかを考えることです。
またどんな人と出会うかだろうか、その人とどのような家庭を築きたいかを考えておくことでいざ家庭を持った時に「こんなはずじゃなかった」と思うようなことは減るはずです。

親から受け継いだ価値観

将来の家庭の在り方について考えるときに役立つのは自分が育った家庭を振り返ることです。
親は自分に対してどんなふうに接してきたか、どんなふうに育ててきたかを考えてみてください。
あのとき厳しく怒られたなとか、親のこういう部分には不満があったけど我慢していたなとかありますよね。
あのとき私は寂しかったから、子供が同じようなときには自分はこうしてあげようとかよりよい家庭を築く参考になると思います。

このようなことを意識して、まだ家庭を持っていない人も、すでに持っている人も、また持たない人も自分の家族の在り方について今一度考えてみてはどうでしょうか。