分子は原子が2つ以上くっついたものです。

その原子の距離によってその分子の安定性は変わってきます。

そしてその安定性はエネルギーで表され、エネルギーが低いほど安定です。

なぜならエネルギーが高いほど激しく動いていたり、他のものにエネルギーを渡すなど反応性が高いからですね。


今回は分子の安定性について、原子間の距離から考えてみたいと思います。


引力と斥力

原子は中性子と陽子から成る原子核が真ん中にあり、その周りを電子が雲のように漂ってできています。

そのため原子間で原子核のプラスと周りの電子が引き付けあう引力が生じてくっつこうとします。

一方、原子間では原子核同士や電子同士の反発により遠ざけようとする反発力、すなわち斥力も働きます。

この引力と斥力それぞれの大きさによって安定性が変化してきます。


引力は引き付ける力のため、引力が大きいほど原子が引き付けあって分子として安定します。

一方、斥力(反発力)は遠ざける力のため、斥力が大きいほど原子が離れようとして結合が弱くなるので分子として不安定化します。


力と距離

引力と斥力は原子間の距離によって変化してきます。

一般的に、原子が近づくほど斥力の方が引力より大きくなり、離れるほど引力の方が大きくなります。


その大きさの変化は原子間の距離とポテンシャルエネルギー(分子の安定性)のグラフによって表されます。


このように原子間距離が小さくなるほど反発力が大きくなって不安定化します。
しかしほどほどに近いと、反発力が大きくなりすぎず引力が強いために非常に安定化します。

ところでこの安定性のグラフはどうやって求められたのでしょうか。
今は機械が複雑な計算をしてくれますが、昔はそんなことはできません。
分子の安定性がどのようにして求められてきたのか、その過程を簡単に説明します。

近似モデル

分子の安定性を求めるにはさまざまな相互作用を考慮しなければいけなく大変です。
そこで細かい作用は無視して主要なところだけを考える近似モデルで計算されてきました。

剛体球モデル

近似モデルとして一番単純なものがこの剛体球モデルです。
剛体球モデルとは原子を硬いボールとして考えるということです。

硬いボールは近づいてもボールの半径の和より近づくことはできません。

この考え方には弱点があり、距離に応じた反発力が考慮されていません。
そのためボール同士がくっついたときに反発力が無限大となり、ポテンシャルエネルギーが無限大に発散してしまいます。


Mieのポテンシャル

次の近似モデルとしてはMieという人が提案したものがあります。
これは剛体球モデルでは反発力がくっついたときしか考慮していなかったのを、距離に応じて加わるようにしました。
そしてできたのが以下の式です。

V:ポテンシャルエネルギー
nの項が反発力、mの項が引力によるポテンシャルエネルギーを表します。
rは距離、cは定数です。
またn>mという条件があり、rが1より大きいときには引力による影響の方が大きくなるようになっています。

Mieは分子のポテンシャルエネルギーはこのような一般式で表せるとしましたが、nやmの具体的な値を求めることができませんでした。

レナードジョーンズポテンシャル(Lennard-Jones potential)

レナードジョーンズというイギリスの物理学者が提案した近似モデルです。
これは近似モデルなのですが精度が高いです。
そのため分子の安定性を考えるときにはこの近似式がよくつかわれます。

式は以下の通りです。

ε:最も低いポテンシャルエネルギー
r0:V=0となるときの原子間距離

レナードジョーンズポテンシャルではMieのポテンシャルとほとんど同じ形をしていますが、具体的な値となっています。
12乗の項が反発力であり、6乗の項が引力となります。

この近似モデルの式によるグラフが最初に示したグラフとなります。



まとめ

分子の安定性が原子間距離によって変化することを説明しました。
そしてそれは原子間距離によって引力と反発力が変化するからです。
そしてそれらは距離の6乗と12乗に反比例します。
Point

・引力は距離の6乗に反比例する

・反発力は距離の12乗に反比例する