炭素がつながって輪っかになっている分子構造ってありますよね。

有名なのがベンゼンです。


このように二重結合が3つある6員環ですね。

まあ実際は共役していて1.5重結合とかなんとか。

このベンゼンは平面です。

二重結合をもっているので曲がることができずに平らな構造をしています。

しかし環状構造のものはほとんどが平面じゃありません。

今回は5員環や6員環の立体構造についてまとめていきたいと思います。


5員環(シクロペンタン)

シクロペンタンは炭素が5つつながった輪っかです。


図を書くとこんな感じです。

立体を無視して書いているので平べったく見えますよね。

しかし実際は折れ曲がっているのです。

この立体構造には2種類存在します。


skew型

ちょっとわかりにくいですけどこんな感じに手前の炭素が下と上に飛び出ている構造だというのがなんとなくわかると思います。

二次元でそれを表すと以下のようになります。

この図はchemdrawとchem3Dでかいているんですけど、なかなか使いこなすのが難しいですね。

この線が重なっているところが手前遠くで逆だったのを入れ替える方法とかググりました。

そしたらChemDrawbotのツイッターが検索で出て、カーソルを結合の上にもってきて「f」を押すと手前にできるよって書いてあったので非常に助かりました。

フォローしておきますかね。


封筒型(envelope)

この構造は以下のような感じです。

自分で原子を動かしたので、エネルギー計算してないために正確性は保証できないんですけど大体こんな感じです。

これを二次元で表すと以下のような感じです。


どうですか。

封筒のように見えませんか。

手紙を開いたような形に見えると思います。


6員環(シクロヘキサン)

シクロヘキサンの立体配座の方が有名だと思います。

てか教科書にはシクロヘキサンのことしか詳しく書いてないんですよね。

シクロヘキサンは立体を無視すれば下図のようになりますよね。



これも実際は折れ曲がってて平面ではなく、その構造は2種類あります。


椅子型(chair)


どうですか。

椅子のように見えますか。

言われてみればそんな感じしますよね。

端の炭素が上向きと下向きで背もたれと足ですよね。

これを二次元表記するとこうなります。



舟型(boat)

もう一つがふね型です。

こんな感じの形をしています。

二次元で書くと以下の図のようになります。


確かにボートのような形をしていますね。

安定性

ひずみ

分子の立体構造の安定性の差は、ひずみの大きさによって決まります。

このひずみには3種類あります。

・角ひずみ

角ひずみは結合の角度から生じます。

結合角が広すぎたり狭すぎたりするとひずみは大きくなります。

例としてはシクロプロパンの結合角度が狭すぎて不安定な異なることが挙げられます。

・ねじれひずみ

ねじれひずみは、隣り合うC-H結合が重なり合ってしまうことによる不安定化のことです。

・立体ひずみ

立体ひずみは、2つの置換基が近づいてしまうことで電子軌道が反発して生じる不安定化のことです。

ようするに置換基がぶつかってしまうから安定しないってことですね。


このひずみの中で、ねじれひずみと立体ひずみの区別がまだ自分の中ではっきりと区別できていないんですけど、隣同士かそうじゃないかってことなんですかね。

隣同士の炭素から同じ方向へHが結合していると、ぶつかり合うことはないけれどH同士が反発して不安定化してしまいます。

そしてこのH同士の反発は、隣り合った炭素であるからC-C結合の角度に由来します。

C-C結合を回転させればHを重ならないようにすることができるからです。

しかしこのねじれひずみが生じてしまうときは、H同士の重なりよりも大きな不安定化が分子内にあり、水素同士が重なっている方がその別に存在する大きな不安定化を和らげることができるときですね。


立体ひずみは隣同士の場合は含めないんですかね。

基本的に折れ曲がっている環状構造で隣り合う場合には、置換基が上と下交互に結合していたり、環の外側に向かって環と大体平行に結合しているのでぶつかりにくいです。

そのため隣同士ではなく、一個間をあけたの置換基が同じ上方向だったり、同じ下方向に結合しているためにぶつかりやすいです。

この環状構造の置換基が上下方向と平行な方向に結合しているのをそれぞれアキシアル結合エクアトリアル結合と言います。


アキシアルとエクアトリアル

上下方向に結合したのがアキシアル、平行な方向に結合したのがエクアトリアルです


シクロヘキサンを例に挙げると上図のようになり、赤がアキシアル、青がエクアトリアルです。


このエクアトリアルとアキシアルでは、エクアトリアルの方がエネルギーが低いです。

すなわち、エクアトリアルの方が安定です。

なぜなら互いに離れた構造のため、置換基が近づいていなくて反発が小さいからです。

上の図において、右側と左側の青い結合であるエクアトリアルがそれぞれ近づきあっているように見えるように思う人もいると思います。

しかし実際は、上に描かれているエクアトリアルは奥に伸びており、下に描かれているエクアトリアルは手前に伸びています。

そのため十分に離れているのです。



上の図はシクロヘキサンの立体図で、左側の青い棒で示したエクアトリアルを赤色にしています。

斜めから見ると近づいて見えますが、逆方向を向いていて離れているということですね。

それはすなわち、ねじれひずみがあるけれど、立体ひずみはないということです。


また、この図からはアキシアルが同じ方向を向いていて、立体ひずみがあることがわかります。

そのため、ねじれひずみは立体ひずみより小さいためにエクアトリアルの方がアキシアルより安定だということがわかります。

大きな置換基がつく場合はエクアトリアルの方についた方が安定ってことですね。


椅子型と舟型

シクロヘキサンの椅子型と舟型のひずみを比べてみましょう。

舟型の方は両端が同じ方向を向いているために置換基が近づいていますね。

そのため舟型の方がひずみが大きく、椅子型の方が安定だとわかります。


skewとenvelope

シクロペンタンの立体配座の安定性も比べてみましょう。

skewとenvelopeの両方とも両端が同じ方向を向いていて立体ひずみは変わらなそうですよね。

しかし、envelopeの方は封筒の手紙が入っているところというか、四角いところがC-H結合の重なりが大きそうです。

そのためねじれひずみがenvelopeの方が大きいのでskewの方が安定となります。


まとめ

構造を2次元の画面から理解するのは難しいですよね。

実際に模型を動かしてみるのが一番理解が早いと思います。

環状構造には平らじゃないものがあり、それらはなるべく反発が小さくなるような形をとるということがわかってもらえたと思います。

複雑な有機物質の安定な構造を探すというのがゲームとなったものがあり、Folditという無料のPCゲームがありますので、是非興味を持ったらやってみてください。