RとSの決め方がわからないとき【カーンインゴールドプレローグ則】
有機物質の鏡像異性体(エナンチオマー)に対して、カーンインゴールドプレローグ則からR,Sをつけようとするとき、間違えてしまったりそもそもどうやって決めればいいかわからないときがありますよね。
今回はその中でも間違えやすい規則について説明します。
R,Sのつけ方の基本
まず基本は、不斉原子から近い順に原子番号の大きいものを高い順位として番号を付けます。
そして番号の一番小さい原子を後ろ(奥)にもっていって、1~3の番号を数えたときにどっちまわりになるかで決めます。
右回りでR、左回りでSです。
基本的なことはこちらにまとめました。
規則の優先
この順位のつけ方には原子番号以外の規則があります。
なぜなら最後まで原子番号が同じ場合も考えられるからです。
そしてその規則には優先順位があります。
その優先順位順に規則を説明していきます。
1.原子番号
これは不斉原子から近い位置にある原子の原子番号が大きいほど順位が高いです。
2.多重結合
多重結合はその結合の数だけ単結合しているとみなします。
例えば二重結合のC=Oでは以下のように考えます。
またこのとき、多重結合を単結合にして増えた原子の先には水素はない事にも注意です。
上の図でO-Cとありますが、CにはHが3つついてはいません。
3.同位体
同じ原子番号でも同位体では少し扱い方が違ってきます。
同位体の場合、重い原子の方が順位が高くなります。
例えばHとDでは、重い方である重水素Dの方が順位が高くなります。
C12とC13の場合もC13の方が順位が高いです。
しかし、規則の優先順位としてはここでは3番目となっているように、原子番号の順位の方が優先されます。
不斉原子から近い位置に重い同位体があったとしても、遠く離れた位置で原子番号に違いが生じればそちらの規則が優先されます。
例えば以下のような場合です。
右の図ではClがない場合で、原子番号による差がないために同位体の重い方が優先されていることがわかると思います。
まとめ
RとSの決め方について間違えやすいものを説明しました。
複雑な構造でR、Sを決めにくいときが多くあると思うので、そんなときは原点に立ち返って規則を見返したり、機械にやらせたりしましょう。
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