前回、マインドフルネスの考えを紹介しました。

マインドフルネスとは今この瞬間を意識することで、過去や未来の余計な不安を減らすという方法でした。

このマインドフルネスは仏陀の教えから宗教的要素を排除したものです。

マインドフルネスは行動として苦しみを減らすことができました。

ではそもそも仏陀はどんなことを教えとして広めたのでしょうか。

今回は仏陀の教えを簡単にまとめてみました。

 

 

仏陀とは

仏陀とはサンスクリット語の「budh(ブドゥ)」という「目覚める」という意味の動詞の過去分詞形です。

目覚めた人、覚者という意味です。

そのため本名はゴータマ・シッダールタという人です。

釈迦族の王子として生まれたためにお釈迦様とも呼ばれます。

29歳で妻子を捨てて修業を始めました。

5,6年苦行に耐えた後、菩提樹の下で瞑想し、悟りを開き、仏教を始めました。

そこで最初に苦しみについて教えを説きました。

それが四諦(したい)です。

 

以下馴染みのない難しい単語が出てきますが、それらは読み流してください。

それでも書いたのは仏教の雰囲気を味わうためであり、単語を知ることで仏教の世界に触れ、世界が広がると思ったからです。

 

四諦とは

  • 苦諦(くたい):世の中は苦しみに満ちている。
  • 集諦(じったい):苦しみの原因は煩悩などにある。
  • 滅諦(めったい):苦しみをなくすには悟りを開くことが必要。
  • 道諦(どうたい):悟りを開くには八正道を実践する必要がある。

苦諦は有名な四字熟語「四苦八苦」の由来となっています。四苦八苦とは大きな苦しみを受けることであり、苦諦で具体的に示されています。

苦諦

苦しみには種類があり、それが四苦八苦です。

四苦:

生老病死のことを指します。生まれること、老いて自由が利かないこと、病気になり悩まされること、死ぬことへの恐怖を抱くことです。

八苦:

  • 愛別離苦(あいべつりく):愛する人と分かれること
  • 怨憎会苦(おんぞうえく):嫌いな人に会うこと
  • 求不得苦(ぐふとくく):欲しいものが手に入らないこと
  • 五蘊盛苦(ごうんじょうく):五蘊という肉体と精神を5つのまとまりに分けたものから生じる苦しみのこと

これら4つに上記の四苦を合わせたものを八苦と言います。

このように世界は苦しみで満ちていることがわかります。

 

これらの苦しみは「自分の思い通りにならないこと」から生じるのだと仏陀は言いました。

そこで登場する考えが「無我説」です。

 

無我説

自分の思い通りにならないために苦しみが生じるとのことですが、なぜ思い通りにならないのでしょうか。

それは自分というものが存在しないからです。

自分とは自分の意思で思い通りになるもののことだと言います。

そのため自分の体は自分で動かせるから自分の体は自分であると考えますよね。

しかし体というのは病気にならないようにしてもなってしまうことがあり、思い通りになっていません。

そしてこれは精神にも言えることで、精神も病気になることから自分ではないのです。

そのため「自分」というのは存在しないというのです。

自分がいないのに、自分の思い通りにしようとするのは不可能です。

このように、苦しみというのは「自分のものである」という誤解から生じると言います。

 

八正道

自分という存在の誤解は、苦しみの原因です。

仏教では原因から結果が生じることを「縁起」と言います。

原因から苦しみという結果が生じるのであれば、その原因を作らないことが必要となります。

そのための方法として八正道があります。

八正道とは正しく良いことをせよということです。

そしてそれは悪いことをしてはいけないという意味です。

なぜ悪いことをしてはいけないのでしょうか。

それは悪いことをすると悪い結果が生じるという縁起があるからです。

悪いことをすると自分の無意識の深いところで考え方が歪んでしまいます

そのためにさらに悪い結果を生じさせてしまうのです。

これを詩的に表現すれば、悪い行為は自分の魂を傷つけてしまうということです。

この悪いことの具体例としてこんなことを挙げています。

  • 生物を殺すな
  • 盗むな
  • 淫行をするな
  • 嘘をつくな
  • 酒を飲むな

この中で生き物を殺さないのは生き物を食べる以上避けられませんし、嘘も円滑な関係性には最低限必要です。

酒を飲まないというのも極端であるため、この3つに関しては可能な範囲で取り組むべきだと思われます。

 

そして善いことをなぜするのかというと、よいことをする人は良い人になれるからです。

善い行動が良い人格を形成するということです。

 

このように自分中心の考えを改め、正しい行動をすることで苦しみを減らせると仏陀は説いたのです。

 

まとめ

仏陀はこのような苦しみを減らす考え方を広めました。

前回の「今この場所」を意識するという考えは、今回の「自分」という認識の誤解を解く具体的な方法であるということがわかりました。

なかなか抽象的な考えが多いために理解しにくいですが、仏教の雰囲気を掴めたと思います。

苦しいときにはこの考えを思い出し、自分について考えてみることで救われるかもしれませんね。