磁石が引き付けあったり反発しあったりする原因は磁性にあります。

その磁性には向きや大きさがあり、それを磁気モーメントと言います。

今回はその磁気モーメントについてまとめていきます。


磁化や磁束密度などの言葉の関係性

磁性の話では多くの単語が出てきます。

そこでそれらの単語と数式の関係性を簡単にまとめておきます。


まず磁性を持つことを磁化と言います。

磁化はMで表され、分子においては平均分子磁気モーメントmと分子の数密度Ñを用いて

が成り立ちます。

また外部磁場Hと体積磁化率χを用いて



とも表されます。

しかし体積磁化率よりもモル磁化率χmの方が用いられることが多く、これは物質のモル体積Vmを用いて

と表されます。

この磁化率が正だと常磁性で、負だと反磁性の磁性となります。

これについては後で説明します。


磁性を持つ物質は磁場を作り出し、それを方向を持った線として表したものを磁力線といいます。

その磁力線が集まったものを磁束といい、その密度を磁束密度といってBで表されます。

この磁束密度Bは外部磁場Hと磁化M、真空の透磁化率μ0を用いて

と表されます。

ちなみにμ0は4π*10^-7 JC^-2m^-1s^2という定数です。

常磁性と反磁性

常磁性とは外部磁場がないときには磁化が0で、外部磁場があるときに磁化を持つ磁性のことです。

そのため磁場の中に常磁性物質を入れると磁化して磁束密度が大きくなります。

反磁性とは外部磁場がないときには磁化が0で、外部磁場があるときに外部磁場と逆向きに磁化する磁性のことです。

これは磁束の中に反磁性物質を入れると逆向きに磁化して磁束密度が低下します。


永久磁気モーメント

永久磁気モーメントとは不対電子のスピンから生じる磁気モーメントです。

不対電子のスピンから生じるために外部磁場がなくても磁性を持ちます。

不対電子のスピンが多いほど永久磁気モーメントが大きく、永久磁気モーメントが大きいほどモル磁化率が大きくなります。

永久磁気モーメントには温度依存性があり、温度が高いほど磁化率は低下します。

これは温度が高いほど原子が熱運動によって激しく動き、電子スピンによる影響が小さくなるからです。


誘起磁気モーメント

誘起磁気モーメントとは外部磁場によって生じる磁気モーメントです。

外部磁場によって電流が流れ、その電流によって外部磁場と逆向きの磁場が発生します。

すなわちレンツの法則によって生じる磁場のことです。

これには温度依存性はありません。


まとめ

ざっくりと磁性についてみていきました。

磁石のくっつけたり引き付けあう力は磁性によるもので、その磁性は外部磁場や電子のスピンから生じることがわかったと思います。

ただこれはざっくりとした内容なので、もっと深く理解するために本を読んでみてはいかがでしょうか。