化学の反応にはいろいろありすぎですよね。

多すぎて頭がこんがらがっちゃいます。

そのため一回整理してみましょう。

基本的なものについてまとめました。


配位(Coordination)

配位とは一方の原子からのみ電子が提供されて結合を形成することです。

言い換えるとルイス酸とルイス塩基の反応とも言えます。

すなわち電子対をあげるものともらうものの反応です。


一般式として以下のように表せます。



配位子交換(Ligand Exchange)

配位子交換とは配位子を交換する反応です。

そのまんまですね。

一応一般式で表すとこんな感じです。



酸化的付加(Oxidative addition)

酸化的付加とは金属錯体が酸化されながら共有結合へ挿入することです。
すなわち配位結合した金属が電子を失いながら、電子対を共有した結合の間に入ることです。

一般式としては以下のように表されます。

酸化数は0からじゃなくてもいいのですが、金属の酸化数は2だけ増加します。

還元的脱離(Reductive Elimination)

還元的脱離とは共有結合の間にある錯体中の金属が還元されながら脱離し、もとの共有結合が形成される反応です。
すなわち酸化的付加の逆反応です。
酸化的付加の矢印を逆向きにしただけですが一応一般式を示しておきます。


挿入/1,n-付加(Insertion/1,n-Addition)

まず、付加とは多重結合(不飽和結合)が開裂して別の原子と新たな単結合を形成する反応のことです。
そして1,n-付加とはその不飽和結合の何番目と付加するかを表しています。
一方の結合を1として、そこを基準としてもう一方がn番目と結合して付加します。

この1,n-挿入として主に1,1と1,2と1,4が挙げられます。
酸化的付加との違いは酸化数が反応後も変化しないことです。
これらの反応をまとめて挿入とも言います。
以下のような感じです。

1,2-付加


1,4-付加


1,1-付加


β-脱離(β-Elimination)

β-脱離とは結合から原子2つ分が脱離する反応です。
すなわち1,2-付加の逆反応です。
名前が1,2-脱離じゃない理由は知らないですけど、ベータはアルファに次ぐ2番目のギリシャ文字のためベータは原子2つ分を表しています。


σ-結合メタセシス(σ-Bond Metathesis)

σ-結合メタセシスとはσ結合を交換して新たな結合を形成する反応のことです。



そもそもメタセシスというのはギリシャ語で「位置を交換する」という意味です。
そのためメタセシスは複分解を意味し、2種類の化合物が成分を交換して新たに2種類の成分ができる反応を意味します。

狭義としては2種類のオレフィン間で結合の組み換えが起こる反応のことを言うこともあります。

今出てきたオレフィンというのは、不飽和結合をもつ炭化水素のことを言います。

また不飽和結合をもつモノマーが付加してできるポリマーのこともオレフィンと言うそうです。
この場合の正式名称はポリオレフィンで、ポリエチレンなどがあります。


トランスメタル化(Transmetalation)

トランスメタル化とは金属を交換して新たな結合を形成する反応のことです。
σ結合メタセシスとどう違うのかというと、おそらく何に注目しているかが違うだけだと思います。

1,n-金属移動/交換(1,n-Metal Migration/Exchange)

これは金属が交換される反応です。
メタセシス、トランスメタル化との違いは分子内で起こることかなとか思っているんですけど、広義としてはたぶん金属が交換される反応全部なんじゃないですかね。
例として1,4-金属移動を挙げておきます。


まとめ

有機化学の反応をまとめてみました。
結構被っている反応が多いのですが、単語を知っていないと違う言葉で表現された時に戸惑ってしまうので一応覚えておいた方がいいと思います。
たぶん分野を深く掘り下げて研究すると一般的な広義の単語を使うのが逆に紛らわしく、より狭義な単語を使った方がわかりやすくなるからだと思います。
専門分野では名前を付けないと説明が長くなってしまいますからね。
難しそうな名前に慣れながら少しづつ覚えていこうと思います。