NMRのスペクトルって全然読めないですよね。
なにこれ針地獄の絵なの?とか思いますがそれはピークを知らないからだと思います。
そこで少しでもNMRが読めるように覚えておきたい溶媒ピークをまとめました。
あとピークに関する知っておきたいことも書きました。

HNMR

溶媒がCDCl3(chloroform-d)のとき

(ppm)
・TMS
0(s)
・chloroform
7.26(s)
・silicon grease
0.07(s)
・1,4-dioxane
3.71(s)





13Cと1Hのカップリング

1Hは電子スピンをもっているが、13Cも電子スピンをもっています。
そのため1Hと13Cでカップリングが生じてしまいます。
しかし13Cの存在比は1.1%と小さいです。
よって1Hのピークの近くに小さいピークが見えることがあります。
特にクロロホルムなどの強い溶媒ピークだと視認できるくらいの小さいピークが左右に見えます。

スピナータービンの汚れ

NMRチューブを差し込む土管みたいなものをスピナータービンと言います。
スピナータービンが回ることで磁場を均一にして計測しています。
スピナータービンが汚れていると回転軸がぶれてしまい、磁場が均一でなくなって磁場やスピンの方向がずれてしまいます。
これによりずれた分のピークやカップリングが生じてしまうことがあります。

芳香環の環電流

芳香環の上下にはπ電子が環状に存在しています。
ここへ外部磁場Hがかかると、レンツの法則により環の内側に外部磁場と逆向きに磁場を生じさせる方向に環電流iが流れます。
電流の周りには右ねじの法則より右回りに磁場が生じるため、生じた磁場hは環の内側では外部磁場と逆向きになりますが、環の外側は外部磁場と同じ方向になります。
そのためπ電子がたくさんあって電子密度の小さくない芳香環でも、環の外側にあるプロトンに外部磁場と同じ方向の磁場がかかるため低磁場にピークが生じます。

三重結合の環電流

ちなみに三重結合の場合、三重結合の周りにπ電子が囲むように存在しています。
芳香環とは違い、三重結合では内側にプロトンがあるため、環電流によりプロトンに外部磁場と逆向きに磁場がかかり、高磁場シフトします。

芳香環のカップリング定数

ortho 8 Hz
meta 2 Hz
para 0 Hz



参考