人が集まると自分の意見をなかなか言えないことがあると思います。

それはなぜでしょうか。

間違った発言をしたら恥ずかしいとか周りが勝手に決めてくれればいいとか思うことが原因かもしれません。

今回はもう少し集団について考えてみます。


人前では

まず集団における人の行動の変化を考えてみましょう。

人がたくさんいる前だと緊張したりしてうまく活躍できないことや、むしろ人前だとより実力を発揮できることがあると思います。

これは生理的覚醒による優勢反応の強化と言われます。

人に見られることによって態度が変化させられ、それが行動に影響するということです。

自信があって得意なことだと、人前で調子がよくなり結果を出しやすいです。

これを社会的促進と言います。

一方、自信がなくて不得意なことでは緊張が強くなって結果を出しにくいです。

これを社会的抑制と言います。


努力量の変化

皆が集まっても一人一人の力が純粋に足されるわけではありません。

人が多く集まるほど一人当たりの努力量が低下するのです。

これは一人当たりの責任が分散されるためです。

そのためこの解決策としては、個人の貢献度がわかるようにすることが挙げられます。

しかしそれだけではストレスがたまりやすいため、集団の人間関係の改善や取り組む課題に対する関心を向上させることで自発的な変化を起こさせることも必要です。


同調

集団では多数派の意見は強い影響力を持ちます。

少数派は多数派から同じ意見にするべきだという圧力を感じ、それを社会的圧力と言います。

社会的圧力によって多数派と同じ意見や行動になることを同調と言います。

この社会的圧力がかかる理由には2つあります。

1つは集団から外れて拒否されたくないという気持ち、これを規範的影響と言います。

2つ目は問題に対して何が正しいか曖昧なとき他人を参考にしようとすること、これを情報的影響と言います。

この2つの理由によって自分の意見や行動が多数派に流れてしまうことがあるのです。


このように周りに流されるのではなく、本当の自分の意見を言うにはどうすればよいでしょうか。

それは自分と同じ意見の人がいる状態にすることです。

自分と同じ意見の人が一人でもいれば、周りに流されずに自分の思ったことを言いやすくなります。

なぜなら自分と同じ考えの人がいることで自分の中の基準が間違ったものでないと確認でき、安心することができるからです。


多数派にするには

では多数派にするにはどうすればいいでしょうか。

意見が出ていない最初の状態から多数派にするには、少数派が影響力を持つ必要があります。

影響力を持つ要因には3つあります。

・権威を持っている

・周りの信頼を得ている

・自信満々に一貫した態度で発言する

信頼のある上司が堂々と発言したらそりゃ影響力ありそうですよね。


集団の間違った決定

集団でなにか物事を決めようとすると間違った方向に話が進んでしまうことがあります。

すると集団での決定は個人で決めるより、より極端なものになりやすくなります。

これをリスキーシフト集団極性化と言います。

この原因には先に説明した努力量の変化が挙げられます。

責任が分散されることで周りに頼るようになり、思考が節約されるのです。

また仕事などでは、企業が独自性を追求することで周りと差別化をしようとし、偏った方向へ話が進みやすいことがあります。

さらに同調によって一度思考が偏ると、さらに偏っていきます。

このようにして間違った決定に繋がってしまうことがあるのです。


正しい判断をするには

自分が思ったことを発言し、集団でも正しく判断するにはどうすればよいでしょうか。
それには適切な環境を作る必要があります。
受け入れられやすい雰囲気をつくったり、グループを小分けにして小グループごとに意見を出したり、外部の意見を取り入れることなどが挙げられます。

またこの受け入れやすい雰囲気というのは、集団のまとまりが強ければよいというものではありません。
なぜなら集団のまとまりが強いほど、異なる意見を言うことで集団から外れたくないという気持ちが強くなるからです。

このように集団において自分で正しく判断するには、個人の力ではどうしようもないこともあるので、環境の変化からのアプローチも必要となってきます。