昔に悪の華をアニメで見たことがある。
キャラクターの顔が漫画とは違い、ちょっと受け入れられなかった記憶がある。
最後まで見たかは覚えていないが、3人のキャラソンが耳に残っていて好きだった。
何かで思い出したのか覚えていないが、カラオケで悪の華を歌ってみた。
そしたらあれには4曲目があった。
悪の華の曲はアニメのOPの4曲がつながった内容になっている。
4曲目を知らなかったのだから最後まで見ていなかったらしい。

そうしてなんか読みたくなって漫画を読み始めた。
漫画版だと佐伯と仲村がアニメ版より可愛く描かれており、抵抗感はなかった。

ネタバレ
悪の華の登場人物の心情が理解できていないため、復習してみる。

最初に春日はクラスで人気者の佐伯の体操着を盗んでしまう。
盗むところを同じクラスの仲村に見られ、変態だと認められる。
仲村は変態な春日を気に入り、佐伯に声をかけるようにいう。
そして佐伯の体操着を下に着たまま佐伯をデートに誘うよう春日に命令する。
春日は佐伯と本屋デートすることになり、告白して付き合うことになる。
しかし仲村は告白ではなくキスをしろと言っていたため、キレて佐伯と一緒にいた春日に水をかけ、下に着ていた佐伯の体操着を佐伯にバラそうとする。
春日は逃げて佐伯に体操着のことをバレずに済む。

しかし罪悪感に耐えられず、春日は仲村に自分が体操着を盗んだことを佐伯に伝えてくれと頼む。
仲村はそれなら夜の学校に行こうといい、夜に教室に忍び込み、黒板に自分が何をしたかぐちゃぐちゃな心境をそのまま吐き出せという。
春日は最初渋っていたが、最終的に全てをぶちまけ、二人で墨汁で落書きをしまくったり、
教室のものをすべてぐちゃぐちゃにした。
二人は満足そうに床に横になった。

翌日学校で騒ぎとなり、最初に佐伯の体操着がなくなった件と合わせて変質者の仕業ということになった。
春日が黒板に書いた自白は墨汁で塗りつぶされていてバレなかった。
しかし床に悪の華の挿絵と同じ落書きがあることを佐伯は気づき、春日と仲村の仕業だと気づいた。

仲村と春日は自分たちがいるここではないどこか、あの山の向こうに行きたい言い出し、自転車で二人で向かう。
佐伯が仲村に春日について聞こうと電話したところ、仲村の親から仲村が家に帰ってきていないことを聞き、二人でどこか言ったのではないかと察して自転車で探しに行く。
途中で雨が降ったため二人は雨宿りをしており、佐伯に見つかる。
佐伯は春日に対して教室の件と体操着の件はあなたの仕業だとわかっており、それでもいいから私と別れないでという。
しかし春日は仲村を放っておけず、仲村を選ぶ。

春日は仲村と次の作戦を立て、クラスの女子の下着を佐伯の以外すべて盗んだ。
そして秘密基地に下着をすべて吊るし、仲村に見せた。
佐伯はその秘密基地に気づき、春日をそこへ呼ぶ。
服を脱いで無理やり春日とセックスしようとし、自分を選んでと伝えた。
しかし春日は佐伯を突き飛ばして仲村を選んだため、佐伯は怒りで秘密基地を燃やした。

春日と仲村は最後の作戦として、お祭りで二人で焼身自殺しようとした。
お祭りのやぐらの上で二人は包丁を前に突き出し、クソムシ共と叫ぶ。
灯油を二人で被ってライターに火をつけようとしたとき、仲村は春日を突き飛ばして一人で自殺しようとするが親に止められる。
佐伯はテレビで中継されていたその映像を見ていた。

春日は中学生から高校生になった。
今度はクラスの人気の女子として常磐が登場する。
春日は友達といっしょにいたところ、女子グループにカラオケが割引されるからという理由でカラオケに誘われる。
そこで常磐と知り合い、本屋でまた出会う。
そこで互いに本好きであることがわかり、意気投合して常磐が自分の部屋に入れる。
しかし常磐には彼氏がおり、彼氏は自分も入れてくれない部屋に男を連れ込んだことで怒り常盤と喧嘩する。
春日は常磐が小説を書いていることを知り、もっと読みたいということで仲良くなる。

春日と常磐が二人で出歩いていると彼氏といる佐伯に出会う。
連絡先を交換し、休みの日に合うことになった。
佐伯は春日と仲村が二人でお祭りの時に自殺しようとしているところを見て、死ねなくて思わず笑ってしまったという。
常磐のことも仲村の代わりでしかなく、春日はずっとそうやって依存して生きていくと吐き捨てで別れる。
常磐は彼氏と仲直りすることになったが、春日は佐伯の言葉を受けて変わりたいと感じ、常磐に告白をする。
常磐は彼氏ではなく春日を選んだ。

現在ここまで。
自分の理解で書いているため異なる部分があるかもしれない。
ざっくりここまでをまとめると、中学時代は体操着を盗むという罪をきっかけに変な仲村と仲良くなり、佐伯と付き合うこともできた。しかし変な考えの仲村に惹かれて変な事件を起こし、佐伯ではなく仲村を選んで自殺しようとするも失敗して離れ離れに。
高校時代に入ると、常磐と本好きで意気投合して春日は常磐を彼氏から奪うことになる。
中学時代を考えればここからまた変なことが起きて常磐とも別れるんだろうな。
この「変な」でまとめた部分を理解できれば悪の華を理解したって言えそうだ。
おそらく生きづらさによる周りへの怒りがもやもやとして頭の中を漂っており、破壊衝動に駆られたとかそんな感じなのだろうか。
最後まで読み切ったら考察サイトを探してみよう。

続き
春日の祖父が病気で倒れ、春日は地元に戻ることになった。
祖父は亡くなり、そのお通夜で中学の時佐伯と仲の良かった木下と再会する。
木下はスーパーでおばさんたちの会話が聞こえ、仲村の居場所を知り、春日に教える。
春日は決別するために仲村に会おうと考え、常盤に全てを告白する。
常盤は一時取り乱すが、春日とともに仲村に会いに行くことにした。
仲村はある食堂におり、落ち着いた様子であった。春日たちは話したいことがあると仲村を海辺へ連れ出す。
春日は仲村にあのお祭りの日、なぜ自分を突き放したのか尋ねたが、仲村はさあと答える。
春日はいきなり仲村を投げ飛ばし、2人で取っ組み合いになる。
常盤が止めに入るも、春日に引っ張られ、3人で海の中で戯れ合うような形になる。
3人は疲れ果て、満足そうに砂浜の上に仰向けになった。

その後は全員が大人になり、普通の家庭を持って暮らしていく場面が描かれる。
そして最終話。
中学時代の春日に会う直前の場面が仲村視点で描かれる。
仲村視点では至る所に虫が描かれる。
その虫は自分にもよじ登っており、仲村はクソムシがと呟く。
人が全て虫で覆われて認識できない状態であったが、春日が佐伯の体操着を盗んだ瞬間、春日を認識できるようになる。
そうして仲村は春日に声をかけ、物語が始まっていく。



ついに読み切ってしまった。
結局春日は常盤とは別れずに済み、全員ハッピーエンドで終わった。
なんだかめだかボックスを思い出した。
思春期の時期は世界が特別だったのに、大人になるにつれて平凡になっていく。
春日は中学時代とは異なり、常盤に全てを打ち明けることで変わっていった。

春日と仲村が教室で暴れて床に仰向けになるのと、春日と仲村と常盤が海辺で仰向けになる場面は全員が生き生きしていて良かった。

あとは考察サイト読むか。
心情を言語化しようと思えばできるだろうけど、自分でやるとなんかありきたりな感情や理由になってしまいそう。

なんか逆にこの結末を見ると仲村のような気持ちになった。
ああ、結局普通になるのか。
結局春日も仲村も佐伯も普通になれるのねとがっかりした気分になった。
自分もいつか誰かにこんなふうにがっかりされるようになりたいものだ。


思考拠点というブログの悪の華完全解説の記事を読んだ。
こんなにテンポの良い文章でまとめられるなんてすごい。
考察も読みやすかった。

仲村は周りに溶け込めず、居心地が悪かった。
居心地の悪い原因を作っている周りに対して、お前らは大勢に溶け込んで自分の意思を持たないクソムシだと感じた。
私は周りを気にして自分の意思を持たないクソムシとは異なり、周りを気にせずに自分の意思を示す行動である悪事を行うことができる。だから私は周りに溶け込めないのではなく、お前らのようなクソムシと馴れ合いたくないだけである。


仲村のこんな思考を元にして物語が始まったと考えると確かに理解できる気がする。

仲村のこの考えを元にして考えると、仲村が春日を突き飛ばした理由に自力で辿り着ける気がする。
仲村は周りに溶け込めず、周りを自分の意思を持たないクソムシとみなすことで周りに興味が持てなくなった。
そんな時、体操着を盗むという世間体に反した自分の意思による行動である悪事を行う春日を見つける。
クソムシではない仲間を見つけて興味を持ち、春日に声をかける。
そうして仲村は春日と一緒に自分の意思を持たないクソムシではないことを示す悪事を働くことにした。
仲村は居心地が悪くて周りをクソムシとみなし、春日を仲間として居心地を良くしようとした。
春日とともに悪事を働いているその瞬間は居心地がいいが、その瞬間以外は悪事を働くほど居心地が悪くなっていくことに仲村は気づいた。
だからここではないどこか、ずっと居心地のいい場所を求めた。
2人で自転車を漕いでずっと居心地のいい「向こう側」に行こうとしたが行けず、そんな場所がないことを知った。
このまま悪事を春日と働いても刹那的な居心地の良さしか得られず、耐えられないと感じた。
そこで仲村は春日とともに自殺して居心地の悪さを解消しようと考えた。

ここまでが自殺にたどり着いた理由。
ここから自殺の際に仲村が春日を突き飛ばした理由を考える。

仲村と春日は悪事を働いて向こう側に行こうとしていたが、仲村と春日の「向こう側」は異なっていた。
仲村はクソムシではない存在として居心地のいい場所を向こう側としていた。
しかし春日の向こう側は6巻で示されているように、仲村を救うことであった。
仲村は春日の向こう側の意味に気付き、自分を救うために一緒に自殺をしようとしていることに罪悪感を抱いて春日を突き飛ばした。
 

仲村の考え、行動原理を居心地の悪さの解消だと単純化して仮定すると、悪事を働くこと、自殺すること、春日を突き飛ばしたことの理由に辿り着くことができました。


考察するには一番最初の背景を理解することが必要であり、その背景がわからない、曖昧な場合はそれっぽい言葉を仮定して進めないといけないことがわかりました。
物語を自分の言葉と理解で初めて読めた気がします。
でも考察サイト読む前でも、仲村の変な部分を生きづらさによる怒りではないかと考えることはできていました。
物語を読む時は理解できない感情や行動を問題文として提起し、きっかけや行動原理を仮定して導いていくことで考察をしていきたいと思います。



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